『超可動ガール1/6』(全12話)の感想【アニメ全話レビュー】

超可動ガール

もう次のクールが始まっている今日この頃ですが、前クールで最後まで見ていた作品を感想を書いておかねば…という事で今回は『超可動ガール1/6』の全話感想です。

懐かしいオタク像

超可動ガール主人公房伊田春人

今作の主人公である房伊田春人、彼を見ていると懐かしい心地になる人も(特に一定年齢以上のオタクなら)多いんじゃないでしょうか。

彼のようなタイプのオタクキャラというのは、最近とんとお目にかかっていなかったように思います。

彼を見ていると、やっぱりオタクたるものこうでなくては…とも思ったり。

三次元の女には一切興味なし!と断言してくれるその安心感。

最近はフィクションにしろリアルにしろ、良くも悪くも軟派なオタクが多いように思うので、ちゃんと意地を張ってくれる彼のようなオタクを見ると、なんか安心しますね。

声を担当したのは羽多野渉さん、羽多野さんのお陰でこの作品が圧倒的尺不足(後述)の中でも辛うじて輪郭を保っていられたんじゃないかと思うほど、本作にとっては屋台骨的存在感を発揮していました。

ノーナの声優さんが新人さん?だった事も合わせて、羽多野さんが作品をリードしてくれなかったら、本当に本作はどうなっていた事やら…。

超可動ガールたち

超可動ガールヒロインノーナ

ノーナをはじめとした超可動ガールたちを見ていると、自分が大好きだった武装神姫というアニメを思い出します。

武装神姫とは?

可動式フィギュアを根幹としたメディアミックス展開で、ゲームや漫画(にもなってたよね?)そしてアニメ化もされました。フィギュアが出発点というのは中々珍しいパターンじゃないでしょうか。自分はテレビアニメ版の武装神姫にしか触れていないので他媒体に関しては何とも言えないものの、テレビアニメの武装神姫は是非とも多くの人に見て欲しいと自分が珍しく思ってしまうぐらい個人的な好みだけではなく広く愛される可能性を感じる作品でした。

全話を収録したブルーレイボックスが格安で手に入るので、気になった方は是非(国内正規品でここまで安いボックスも珍しいんじゃなかろうか)。

武装神姫の場合、マスターは居つつどちらかと言えばマスターが不在の間に神姫たちが何をしているのかを覗き見るような趣向でした。

それに対して本作では、主人公の春人が主体となって物語が展開していくので、武装神姫に似ているのはあくまでも「動くフィギュア」といった概要だけですけどね。

15分枠で1クールという尺の無さからキャラクターの掘り下げが難しかったのか、アニメではノーナ以外の子達に関しての描写は少々物足りなかったように思います。

自分は原作も全て読んだので分かりますが、アニメだけの視聴者にとっては少々印象に残りにくかったんじゃないでしょうか。

まぁ原作も割とバタバタと〆て終わった感じだったので、終盤に出てきたキャラクターは原作でも掘り下げが足りなかった訳なんですが。

本作の面白さ

自分は原作の漫画を読んだので分かりますが、本作の面白さはプロット的な部分ではなく、キャラクター同士の何気ない会話など、骨組みに対して肉付けされた部分にこそあります。

アニメでも一部そういった面を垣間見る事はできましたが、圧倒的尺不足(後述)の弊害として、本作の持ち味がアニメとして表現されにくい環境だったのは非常に勿体なかったように感じています。

概要ではなく、それを彩る飾りにこそ面白みのある作品の場合、こういったダイジェスト風味なアニメだと魅力がさっぱり伝わらない事になるのだな…というのを本作で痛感しました。

尺が足りない問題

超可動ガールベルノア

アニメ業界の持ちネタと化している「尺が足りない問題」ですが、今作もやはりというかなんというか、圧倒的な尺不足ですね。

原作の漫画はコミックス4巻で完結しているんですが、その4巻分を15分×12話でやれというのだから、そりゃそうなるわってな話でして。

尺の足りなさに関しては以前、『りゅうおうのおしごと!』の感想でも大いに語りましたね。

『りゅうおうのおしごと!』全12話の感想【アニメ全話レビュー】

『りゅうおうのおしごと!』でも尺の足りなさが様々な面で作品のクオリティーに悪影響を及ぼしていましたが、本作はそれをはるかに凌駕するレベルで大問題。

「ちょっと進行急ぎすぎなんじゃ?」といった感想で収まるラインを踏み越えて、アニメとして破砕していると言われても仕方ないレベルだと正直感じました。

しかし、本作に関しては尺が足りないのは大前提として、足りないなら足りないなりに、もうちょっと隙間を作ろうよ?という感想を強く持ちました。

要するに、尺が足りないからって話を詰め込み過ぎなんですよね。

尺が足りないなら、もっと割り切ってエピソードを切り捨てて行かなきゃいけないと思うんですが、本作は中途半端に拾いに行っちゃった結果として、尺の無さを一層強烈にアピールしてしまいました。

これに関しては単純に、シリーズ構成なり監督なりの不手際と言わざるを得ないんじゃないかと。

最近15分枠のアニメを見る機会が増えたんですが、やはり作品によって作り手の力量が如実に現れているなと感じています。

この作品もそうなんですが、ひょっとして作り手は「30分枠の内容を15分に押し込めようとしてる」んじゃないかと思うほど、「会話の間」というものが圧倒的に軽視された描き方が散見されます。

原作コミックス4巻分の内容を15分×12話でマトモに描けるわけがないのは明白なので、だったらエピソードをもっともっと厳選して、厳選されたエピソードを余裕をもって描くべきでしょう。

序盤はともかく、それ以降は少々見るに堪えないぐらい、とにかく「間抜け」なアニメになっていたのが残念でした。

OP&EDテーマ

本作品の音楽面に関しては、劇伴に関しては使い所の不味さが目立ってしまった事でいま一つ(曲単体では割と好きなものも多かったんですが)だったものの、オープニングテーマとエンディングテーマは中々にお気に入り。

OPテーマ A応P『それゆけ!恋ゴコロ』

このA応Pさん、個人的には『スマホ太郎』の愛称?で有名な『異世界はスマートフォンとともに』のOPを聞いたことがあるぐらいしか存じ上げなかったんですが、この曲はかなりお気に入りです。

OP映像の雰囲気にも上手い事合っており、OPテーマとして十分以上の働きをしてくれたように感じます。

EDテーマ 東城陽奏『ONE』

エンディングテーマを歌っているのは東城陽奏さん(この曲で自分的にはお初でした)。

この曲を聴いた時、なんともいえない懐かしさを感じました。

なんというか、この作品自体が古めかしい雰囲気をまとっている訳ですが、その作品のEDとしてこれ以上に無いぐらいノスタルジー溢れる曲だなと。

具体例を上げろと言われても難しいんですが、90年代半ば以降~00年代序盤ぐらいにはチラホラ存在したようなアニメのEDテーマ感を強烈に感じます。

もちろん悪い意味なんて事は全くなく、完全に良い意味で懐かしい、非常に落ち着くEDテーマでした。

感想まとめ

満足度:★★☆☆☆

最初の3話ぐらい(だったかな?)は尺が足りないながらもギリギリ原作の味わいを生かそうとしている事が感じられ、これは良い15分アニメになりそうだ…と思ったんですが。

単に最初だけ比較的尺を使って描いていただけだったようで、その後はもうこれでもかと言わんばかりにエピソードを詰め込みにかかるスタイル。

もちろん全部を詰め込めるわけもなく、カットされている部分も多いんですが、それでも実際の尺を考えるとカット具合が甘すぎる。

本作を見ていて感じたのは、短い尺に対して完全にあふれ出る量の原作があるようなアニメの場合、恐らくは適正な尺を提示されたアニメと比べて圧倒的に脚本家や監督の力量が試されるという事。

原作漫画をアニメ化するという事は、つまりは二次創作なわけで、それが15分枠1クールでコミックス4巻分ともなれば、極めてクリエイティブな能力が必要とされる事でしょう。

原作を咀嚼して、1クールの15分アニメとして再構築して面白いアニメを作り出すだけの実力が、このような力技的アニメ化には必要となります。

残念ながら本作にはそれが足りなかった。

少々辛口ではありますが、そのように感じざるを得ない『超可動ガール1/6』のアニメ化でした。

あと、作中音楽の使い方がおかしいと感じる場面が多々あり、そういった面でもぎこちなさを感じた点は付け加えておきます。

ほんとに本作がアニメとして瓦解せずに済んだのは、春人役の羽多野さんはもちろん、脇を固めた実績ある声優さん(森川さんなど)の功績が非常に大きいのは間違いないでしょう。

これで春人役も新人級の声優さんだった日には…。

dアニメストアのお気に入り登録数を見る限り、アニメファン一般においては話題にすら上がらないような作品であろう本作ですが、自分は最初の数話が楽しかったから期待してたんです。

あぁ、せめて最初の数話ぐらいのテンポで1クール進めてくれればなぁと、そんな未練たらたらな本作の感想なのでした。


©OYSTER/双葉社・「超可動ガール1/6」製作委員会

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