最近、最新アニメをそっちのけで『となりの吸血鬼さん』を繰り返し見ていたりします。
この作品ぐらい洗練された作品というのは、見ているだけでα波が出るのか、何度見ても良いなぁと感じます。
そんな大のお気に入りである本作ですから、作品を評価する意味で円盤も揃えています。
現在はブルーレイ、DVD共に2巻まで発売中で、当然自分も持っている(ブルーレイの方)のですが、少々思う所があったので…。
となりの吸血鬼さんブルーレイ(DVD)の内容について
これがブルーレイ2巻のパッケージ内容です。
外ケースは原作絵仕様となっていて、アニメ版の絵柄とはまた違った味わいがありますよね。
対して内ケースはアニメ絵の「灯」仕様となっていて、それぞれの服や人形、その他もろもろを見ていると本編を思い出します。
左下のマウスパッドっぽく見えるものは、普通に各話の粗筋などを記したブックレットです(立体っぽく見えるだけ)。
ブックレットの内容は少々物足りなさも感じはするものの、さしたる不満要素ではありません。
そんな感じでパッケージまわりは割と気に入っているんですが、肝心のディスクまわりに関して少々不満というか、この巻に関しては苦言を呈したい部分がありまして。
本編ディスクについて
本作は全12話の作品を一巻あたり3話収録して、合計4巻発売するスタイルとなっています。
まずはここが不満。
さすがに一巻に2話収録のスタイルは絶滅寸前の状況までは持ってこれたと思いますが、2019年にもなって「入るだけ入れない」ようではやはり駄目でしょう。
となりの吸血鬼さん全話の感想記事の最後でも書きましたが、いい加減無駄にディスク枚数をかせごうとするのは止めて欲しいものです。
さらに本作の本編ディスクにはコメンタリー的なものもなく、申し訳程度にノンクレジットOPやEDが付属しているだけですから、正直円盤商品としての魅力に欠けると言われても仕方ない仕様ではないでしょうか。
自分はこの商品を8000円強で買いました(恐らくネット最安値クラス)。
話数単価で考えると、8000/3=2666円という事になり、ネット最安値でも一話単価が2500円以上する「決して安くはない商品」だと言えます。
それがこの内容だと、自分のように作品を評価する意味合いも含めての購入という視点でなければ、この作品が好きな人でも普通にスルーしてしまうんじゃないでしょうか。
個人的にアニメの円盤は、円盤でしか見れない新規アニメというものをもっと積極的に売り出すべきだと思うんです。
それもちょっとしたミニストーリーとかではなく、本編に匹敵するクオリティーと重要性を持った、ちゃんとした新規アニメを1話まるまる新しく収録するべき。
あとはキャストコメンタリーやスタッフコメンタリーは興味深い話が聞けたりするのが面白く、確実に円盤の付加価値として機能するものだと思います。
アニメ業界って、アコギな商売はそこかしこに氾濫していますが、真っ当な商売が本当に下手ですよね。
例えば、CDでカップリングやインストの組み合わせが違うものを複数出して、全部揃えるには重複する曲があるのを承知で全部買わなきゃいけない…というのはアコギな商売です。
対して、アニメの円盤で本編を3話収録しているのに加えて、新規アニメを1話分収録しており、それはこの円盤を購入しないと見れない…というのは、真っ当な商売です。
この二つは明確に違うものなので、是非とも真っ当な商売をどんどんして行ってもいたいものです。
特典CDについて
この商品の価値を高めるために付属している特典CDですが、内容に関しては少々不可解なものとなっています。
前作(第一巻)は、「キャラクターソング」と「ボイスドラマ」という構成で、大満足…とはいかないまでも、それなりに妥当なものではあったかもしれません。
しかしこの第二巻に関しては、大いに問題ありです。
というのも、収録内容が「キャラクターソング」は前巻の流れを引き継ぐものなので良いとして、もう一つの「800歳ラジオ」というものが何ともなぁ…という感想なんです。
この「800歳ラジオ」ですが、ソフィーとエリーの年齢を足すと800歳を超えるという所に由来します。
内容はといえば、ソフィー役とエリー役さらにはゲストとして灯役のキャストさんたち自身によるネットラジオ風のトークが収録されているというモノなんです。
てっきりソフィーとエリーがキャラとして掛け合うラジオ風のボイスドラマなのかと思ったんですが、全然違いました。
「ボイスドラマ」は『となりの吸血鬼さん』の世界観を味わえる意味でアリですし、それが円盤の特典CDとして付いてくるのも良くある話ではあるのでしょう。
しかし、「キャラクターの」なら良いとして、普通に「中の人の」トークを収録したCDを円盤の封入特典として付けるのは、ちょっと違うんじゃないでしょうか。
もちろんこれが、「となりの吸血鬼さんに関する話」を終始しているのならまだセーフなラインかもしれませんが、実際には作品の話から派生したキャストさん自身のお話であったり、そもそも作品に全く関係ないような話だったりが多分に展開されている、要するに「ネットラジオのフリートーク」みたいなものがアニメ本編の円盤商品の封入特典として付いてきているんです(正確には作品とあまり関係ないコーナートークの割合が多い)。
自分は作品にもよりますが、キャストさんがパーソナリティーを務める作品の宣伝ラジオを聴くことがある人間なので、まだこういったモノには慣れています。
しかし、アニメを見る人が必ずしも中の人にまで興味があるわけではありません。
この「800歳ラジオ」を円盤の特典にしようと企画した人間(そして賛同した人達)は、そのへんの事に対してあまりにも無思慮というか、無知すぎはしませんか?
『アニメファン』=『声優ファン』ではありませんよ?
『アニメファン』=『声優ファン』ではない
こんな当たり前の認識が、ひょっとしたらアニメの売り手側では霞んでいるのかも知れません。
あまりにも声優さんに対するファンの愛着に頼った商売ばかりをしすぎて、売り手側の視点からは『アニメファン』=『声優ファン』のように見えているのかも?
今回のケースは極めて端的にその一端を垣間見たような気がしています。
折角の洗練されたアニメのパッケージが、こういった「間の抜けた」内容になってしまっている事が残念でなりません。
一応の補足として、「800歳ラジオ」の内容はキャストの皆さんがお話上手でしたので、声優さんのフリートークを聞くのが好きな方なら十分楽しめると思います。
あくまでも「アニメの円盤に封入されている特典として不適切」だというだけで、内容がつまらないといったような苦情ではありませんので、その点は誤解なきように。
©甘党・KADOKAWA/となりの吸血鬼さん製作委員会