『放課後ていぼう日誌』(全12話)の感想【アニメ全話レビュー】

放課後ていぼう日誌キービジュアル

直近のアニメ全話感想記事が「まちカドまぞく」であるあたり、どうやら一年ぐらいアニメの感想記事を書いていなかったようです。

実は「まちカドまぞく」以降、しっくりくる作品に巡り合えない状況が続いていたんですよね。

そんな中で4月新番で出会ったのが当作品だったわけですが、そんな作品があろうことか新型コロナの影響で製作中断&配信停止という憂き目にあう事に…。

そんなこんなで実に一年ぶりぐらいの感想記事なので、どうやって書いていたっけ?という事を過去記事を読み返したりしつつ、「放課後ていぼう日誌」を振り返って行きたいと思います。

部活モノであり日常モノでもある

放課後ていぼう日誌ていぼう部場面

本作は海野高校ていぼう部(主に釣りをする部活)を舞台とした部活モノではあるものの、全国大会を目指して特訓を重ねる系のアレではなく、部活動を通して部員たちの日常を描いた作品となっています。

女子高生4人の部活動という事で、ニュアンスとしては日常モノといった文脈の方がシックリくるのではないでしょうか?

釣り漫画の常識を覆す?作品

放課後ていぼう日誌ていぼう部アジゴ釣り

本アニメの原作は漫画なんですが、この漫画が「釣り漫画」としては比較的異質なもののように思います。

これは自分のイメージですが、釣り漫画というと「釣りキチ三平」や「グランダー武蔵」のような、「釣り人vsヌシ」あるいは「釣り人vs釣り人」的な対決構造を釣りに持ち込んだタイプの作品を連想します。

それに比べて本作は、釣りというものをより日常的に楽しんでいる女子高生たちの日常を描いている点で全く性質の異なるものとなっており、非常に地に足着いた「釣り」を描いている稀有な釣り漫画と言えるんじゃないでしょうか。

強いていうなら実写版のイメージが強い「釣りバカ日誌」が近いと言えば近い(タイトルの類似性からしてもある程度意識しているものと思われますし)ですが、本作はより日常モノとして「日常にある釣り風景」といった点を明確に描いている所が印象的です。

釣り初心者のハウツー作品として最適

放課後ていぼう日誌レクチャー

主人公は釣り初心者であることから、視聴者も主人公の陽渚と歩調を合わせて釣りの世界を切り開く事が可能となっている点から、釣り初心者にお勧めしたい釣り漫画ナンバーワンと言っても過言ではないでしょう。

実際に自分も本作に触れた事で釣りを始めた一人だったりするんですが、ていぼう日誌を見てなかったら(読んでいなかったら)分かりづらかっただろうなぁと感じる部分が非常に多いんですよ。

釣りって初心者が一人で始めるにはかなりハードルが高いレジャーだったと思うんですが、本作のお陰でそのハードルがかなり下がったんじゃないかと、誇張ではなく本当にそう感じます。

メインキャラのバランス感覚

放課後ていぼう日誌メインキャスト

本作のメインは「鶴木陽渚」「帆高夏海」「黒岩悠希」「大野 真」の4キャラクター(あとは顧問の小谷先生もそこそこ出てきますが)ですが、この4人は中々バランスの取れた布陣だと言えるでしょう。

バランスを取るにしても色々なやり方があると思うんですが、この4人は「誰が一番人気になるのかイマイチわからない」系のバランス感覚ですよね。

黒岩部長は無難に愛されるキャラクターでしょうし、大野先輩も同様に好感度が高そうですが、どちらも突き抜ける人気は獲得しそうにありません(しいて言えば黒岩が一番人気でしょうが)。

夏海のようなタイプの元気&少年っぽい女の子は中々男性人気という点では難しい点もあると思うんですが、メガネ姿があまりにも似合い過ぎていて、あぁいったギャップ要素で結構人気を獲得しているんじゃないでしょうか?

陽渚は陽渚で非常に埋もれそうな主人公キャラなんですが(失礼!)、何気に負けず嫌いな性格だったり夏海を何かと下に見ていたり、そして変顔スキルを有していたりといった装備を備えている事で、十分に人気キャラとして成立しうる主人公となったんじゃないかと思います。

黒岩=灯とか信じられるかい?

放課後ていぼう日誌黒岩部長

今作のキャスト陣でビックリしたのは何と言っても黒岩部長役の篠原侑さんでしょう。

篠原さんと言えば自分にとっては完全にこの子な訳です。

「となりの吸血鬼さん」の「天野灯」ちゃんです(右の黒髪おかっぱ)。

アニメを見る前段階でキャスト一覧を見た時に篠原さんの名前があったので楽しみにして見始めたんですが、どうにも篠原さんらしき声が見当たらない…具体的に役名を見てみると、黒岩悠希…え、部長!?

この豹変っぷりは久しぶりに衝撃を受けるレベルでしたね。

同時に月並みな言葉ではありますが、「声優さんって凄いな」と改めて実感した次第です。

さすが動画工房といった安定感

放課後ていぼう日誌作画

アニメ製作スタジオは動画工房、日常アニメを数多く手がけている事から「日常アニメの名手」的な認知度も高いスタジオだと思います。

実際に作品全体を通した安定感は流石といった感じで、作り慣れてる感はヒシヒシと感じられます。

殊更ハイクオリティーな作画といった雰囲気ではありませんが、作品世界をしっかりと魅力的に見せてくれる必要十分な充実のデキでした。

動画工房だなぁと悪い意味で感じる点

一般的には日常アニメ作りに定評があるとの評判である動画工房ですが、個人的にはそういった認識ではなく、どちらかといえば「動画工房は日常アニメを捉え違えている」とすら思っていたりします。

これは同スタジオの「世話やきキツネの仙狐さん」でも強く感じた事なんですが、とにかく「雰囲気押し」になるきらいがあるんですよね。

仙狐さんで言えば、「癒されるアニメ」といったものを提供するという思いが強すぎる結果として、「癒しのゴリ押し」のような形になってしまったような印象がありました。

それは本作でも少なからず感じられる部分で、「雰囲気のゴリ押し」感を少なからず感じる部分がありました。

これは言い換えると、「全体的なイメージをアピールすることに意識を集中しすぎて、細部の描き方が雑になりがち」だという事です。

特に気になるのは間の悪さ、「なんでここがこんなに間延びしてる?」と思う場面も結構あったり、あるいは原作で表現されているニュアンスが完全に死んでしまっているような場面もあったり…。

これを象徴しているように感じられたのはOP映像のこの場面です。

放課後ていぼう日誌OPキャプチャー

個人的に不思議と引っかかった笑顔だったんですよね。

どこか既視感があるというのもあるんでしょうが、この笑顔を前もって押し付けられているような印象があったんです。

もちろん実際の本編が全く違った印象であったなら単なる思い違いの類で片付いた話だったと思うんですが、この笑顔を見た時に「このアニメちょっと危ないな…」と感じたのは確かですし、実際に出来上がったものも、どこかその予感を否定できない部分がありました。

原作漫画は非常に良い感じ

アニメも十分楽しめた本作ですが、それ以上に原作の漫画は非常にお勧めしたい作品です。

アニメ版は「のどかさ」を表現したい意図が強く表れた結果、どこかポヤっとした雰囲気に仕上がっていますが、原作漫画ではもっとキレのある緩急が表現されています。

もちろん「のどかさ」も非常に魅力的な本作なんですが、アニメでももう少し緩急が上手く表現されていれば尚良かったのに…とは感じます。

『放課後ていぼう日誌』感想まとめ

満足度:★★★★☆

非常に悩ましい所ではありますが、自分が一年ぶりに感想記事を書こうと思えるぐらいには楽しめた作品だった事は確かなので、少し甘めですが★4つという事で!

原作は非常に満足度の高い作品ですし、アニメとしても決定的な瓦解を見せているわけではない。

実際に1クール楽しませて貰えた作品であったのは確かです。

しかし同時に、何か物足りない感触も味わっていたような、そんな作品であったのも確かなんですよね。

動画工房というスタジオは、作品を台無しにしないセーフティーネットの張り方についてはノウハウを持っているのかも知れません。

しかし残念ながら、作品の持つ味わいをアニメとしてより引き立てるためのノウハウ(演出面の能力?)が少々不足しているような印象を抱く作品が多い点が気になります。

本作品も原作の持つ魅力を台無しにはしていないと思いますが、かといってプラスアルファの何かを提供できているか?と問われると首を傾げてしまう所があります。

動画工房には是非、緩急の付け方についてもっとノウハウを蓄積して頂きたいと強く思います。

そうすれば「干物妹!うまるちゃん」(特に一期)のように魅力的な作品を断続的に生み出せるような、凄いスタジオになれると思います。

なにやら「放課後ていぼう日誌」というよりも動画工房に対して辛口な感想となってしまいましたが…期待の裏返しという事でご容赦願えれば幸いです。

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©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部

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