2019年10月新番で見ているものもありますが、どうやら今年の自分にとって最愛のアニメは『まちカドまぞく』となる事がほぼほぼ確定的な雰囲気です。
そんな『まちカドまぞく』ですが、本作品の魅力を語る上で主人公のシャミ子(シャドウミストレス優子)こと吉田優子が、あまりにも可愛すぎる点を後回しにする事は出来ません。
そこで今回は「なぜシャミ子はこんなに可愛いのか」という点について、シャミ子のキャラクター性から掘り下げて語ってみたいと思います。
声と演技が良い(アニメについて)
まずはアニメ版ならではの要素として、声に関する話をしておきましょう。
シャミ子役を演じるのは小原好美さん。
とても魅力的な声をしていますよね。
しかしそれだけではなく、シャミ子を演じるにあたって桜井監督から「舌足らずな喋り方にならないように」という演技指導を受けた上でシャミ子を演じていたのだとか。
その演技指導により、小原さんの持つ優しい声に弾力が増したように思います。
そしてその上で演じたシャミ子がもう、唯一無二と言って良いほどの愛らしさを発揮しています。
序盤はまだ、キャラクターをしっかりと掴めていない印象の場面も少なくありませんでしたが、終盤は見事にシャミ子を自分のモノにしていましたね。
後述しますが、シャミ子というキャラクターに対して自分は、程よい少年性を感じています。
その印象を補い、そしてまろやかに包み込んでくれたのは、他でもない小原さんの声と演技でした。
シャミ子が小原さんで本当に良かった。
そしてその完成形を見通し、着地点へ導いた桜井監督の手腕に感謝感謝です。
シャミ子の原材料
お母さん由来の直接的成分
シャミ子の愛らしさを一層引き立てている点として「敬語で喋る」という特徴があります。
これは言うまでもなく、母親である清子さんの影響でしょう。
お母さんの真似をして育つ、ある意味で娘としてあるべき姿かもしれません。
さらに言えば、シャミ子は角が生えるまでは病弱具合がかなりひどかったようなので、一般的な15歳に比べると母親と接している時間の割合がかなり大きかった事でしょう。
そういった事もあり、シャミ子はお母さんから敬語口調を始めとして色々な面で強い影響を受けているのは間違いない所です(ぽんこつ具合も)。
お父さんからの間接的影響
お母さんからの影響は分かりやすいと思いますが、問題はこちらの「お父さんからの影響」です。
これはあくまでも自分が妄想している話なのですが、一応作中にある情報から判断した比較的妥当な予想だと思います。
シャミ子は「昔のゲームが好き」という設定があり、実際に原作やアニメの中でもファミコンかスーファミかといったようなゲーム機で遊んでいる様子が描かれています。
OP映像でもドラ〇エ的なゲームをやってますよね(しかも割と古そうなグラフィックの)。
しかし何故そんなゲーム機を持っているのか?という話です。
これは恐らく、お父さんの持ち物だったんじゃないでしょうか。
4万円生活の呪いが発動した後に入手したと考えるよりは、もとからあった=両親の持ち物であったと考えた方が自然でしょう。
お母さんの持ち物である可能性もありますが、作中でお母さんがゲーム好きであるようなニュアンスは全く見かけないので、となるとやはり(一般的に考えても)お父さんの持ち物であった可能性が高いのではないかと思われます。
そしてゲーム以外にも、シャミ子は気になる発言をしています。
「100%の牛ってこの世に存在するんですか?120%もいますか?」
このセリフって、30~40代ぐらい人ならピンと来る人も結構いるんじゃないでしょうか?
そのシーンで描かれていた『100%の牛』のイメージを見ても分かるように、『幽遊白書』に登場する『戸愚呂弟』ネタであるのは明らかですね。
これだけだと懐かしいネタとしか見えないかも知れませんが、「このネタをシャミ子が知っている可能性」という事について考えて行くと、実は非常に合点がいくんです。
例えばシャミ子が、お父さんの持ち物であった少し古めの漫画を読んでいたとしたらどうでしょう?
吉田家の家計的にもシャミ子のお小遣い的にも新たに漫画本を買う余裕なんてないでしょうから、家にある漫画本となると、それもまた両親の持ち物であった可能性が高い。
そしてシャミ子から発せられる言葉の中に混じる「敬語口調以外のもの」には、どことなく少年漫画的なものからの影響を感じるんですよね。
少なくとも少女漫画よりは少年漫画を読んでそうな気がしません?シャミ子って。
そんな印象の背景には、実際に少年漫画を読んだりゲームをしたりして家の中で遊ぶのが当たり前だった、そんなシャミ子の日常が存在しているように思えてなりません。
つまりシャミ子は、男の子的な文化に親しんできた事によって少年的な感性を備えた女の子なんじゃないかと思うわけです。
純真さの性質
シャミ子は良い意味で世間知らずというか、純粋性を感じるキャラクターです。
それはやはり体が弱い事で、ある種独特な幼少期を過ごして来た事に起因しているのでしょう。
そういった純粋性と先ほど語ったような父親からの間接的影響によって付与された少年性が合わさり、少年的純真さを感じさせる女の子のキャラクターとして『シャミ子』が確立されているのではないでしょうか。
女の子の皮を被った男の子みたいなキャラクター
これまで語って来た事を整理すると、以下のような感じです。
- シャミ子の声が小原さんで良かった、監督が桜井さんで良かった
- 敬語はお母さん由来の成分
- ゲームや少年漫画の影響で少年的な感性を持つに至った(あくまでも個人的な予想ですが)
- 女の子でありながら少年的純真さを備えている点が最高に愛しい
自分が好きな二次元女性キャラクターの特徴として「女の子の皮を被った男の子みたいなキャラ」というものがあり、シャミ子もそういった特徴を備えた一人だと言えます。
しかしその中でもシャミ子ほどグッとくる子も中々いないですから、女の子的な面と男の子的な面の含有量が絶妙に自分好みなのかも知れません。
このニュアンスは言葉で説明するのが中々難しく、「中性的」といった捉え方をされてしまいやすいのではないかと思います。
しかしシャミ子にしろそうですが、中性的というのとは全然違ったニュアンスなんです。「男勝りな女の子」とも違う。
なんというか、性別や外観としては完全に女の子なんだけど、魂が男の子…みたいな?そんな感じです。
自分に限らず、もしこの文章を読んでいる貴方がシャミ子にやたらグッと来ているとしたら、それはシャミ子の中にある「少年性」にグッと来ているのかも知れませんよ?
©伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会