『まちカドまぞく』人気の理由を分析してマーケティングに生かすべし【まちカド難民からアニメ業界への提案】

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円盤のリリースが終了した記念として、「アニメ『まちカドまぞく』がなぜこれほどの人気を獲得できたか」といった点について、人気の要因となっていると思われる特徴を個別に分析してこうかと思い立ちました。

なぜそんな事を思い立ったかは後述しますが、まちカドまぞく大好きな自分の視点から、なぜこれほど自分が「まちカドロス」に陥っているかと言った話も絡めつつ語って行きたいと思います。

アニメに関して根本的に求める事は『面白さ(魅力)に自信をもって作られた作品を上手にこちらへプレゼンしてほしい』という事なんですが、業界に関わる人の中には「視聴者のニーズ」なんていう実体のないものを気にしてしまうような人もいる事でしょう。

そんな方に「答え」なんてものは当然提示できませんが、「気付き」に寄与出来たらとの思いもあります。

一作も刺さらなかった2019年10月クール

一つ前のクール(2019/10~12)に配信されていた作品もいくつか見繕って見ていました。

その結果、これはあまり自分の琴線に触れるものではないと感じたため自然と見なくなり、その結果として完走した作品がないクールとなってしまいました。

つまり、『まちカドまぞく』が大のお気に入りである自分の心象を揺さぶるものが全くないという事は、「まちカドまぞく的なものがなかった」という見方も出来るかもしれません(やや強引ですが)。

ちなみに自分はdアニメストアでアニメを視聴しているので、そこで配信していた作品を基準とした話ですけども。

以前、『三ツ星カラーズ』と絡めてアニメの視聴動機について語ったことがありました。

アニメ『三ツ星カラーズ』がヒットしなかった理由はキービジュアルにアリ?【アニメ作品の視聴理由・要因とは】

ここで語ったように、結果大好きな作品となった『三ツ星カラーズ』すら一歩間違えば見逃していた訳なので、前クールに関しても自分がスルーしちゃった作品の中に実は相当自分好みな作品があった可能性も当然あるんですけどね。

ただそんな中でも、自分は実際に『まちカドまぞく』にはたどり着けたわけで、そういったルートを(自分の中では)辿れなかった作品に関しては、何かしら違ったのでしょう(違う作品なんだからそりゃ違うだろって話ですが)。

そんな自分が思う、『まちカドまぞく』のお気に入りポイントをつらつらと羅列していこうかなと。

アニメ『まちカドまぞく』が好きな理由(視聴要因)

ここでは自分視点で『まちカドまぞく』のココが好き、こういった特徴を有しているから視聴したといったような点を挙げて行きます。

日常モノ

最近は特に顕著なんですが、日常アニメしかまともに楽しめない体になっているような所があります(若干誇張あり)。

というのも、アニメを洗練させていくと様々な作風が結果的に日常系へ帰着するのではないかと最近はしみじみと感じているんです。

洗練された温度感で描かれる世界に慣れてしまうと、分かりやすく作風を振り切ったようなもの(シリアス、ギャグ、バトル、スポーツ、恋愛、その他色々)が胃もたれしてしまうような感触が増しています。

結果、様々な要素をはらみつつ日常モノとしてのベースを有した「洗練されたアニメ」ばかりを見る様になっているのが現状ですね。

恋愛要素なし

恋愛要素の有無は作品を見る上で非常に重要なポイントです。

自分は恋愛モノというジャンルを苦手としているので、キービジュアルやあらずじ、人物構成などでそういったニオイを嗅ぎ取った場合、ほぼもれなく視聴リストから除外される事となります。

百合に関しては人それぞれによって定義の幅が広いので、ある人が「これは百合だ」というもので自分が見ているものもありますが、同性同士であっても恋愛的なニュアンスを感じるものであればやはり視聴リストから外しているような感じです。

女の子メイン

これは恋愛要素とも強く絡む所ですが、ハーレム構成ならまだしも(ハーレムは恋愛モノではないので)、男性キャラ複数×女性キャラ複数といったタイプの作品は結構な割合で恋愛要素を含みますので避けがちです。

こういった人物構成であえて恋愛モノに持って行かないものも存在していますが、その「あえて」の部分に「あざとさ」を感じてしまう事も多く、それはそれで苦手なんですよね。

そして自分は日常モノをメインで視聴しているので、基本的には女性だらけな作品が好みに合う事が多いですね。

男性だらけな日常モノ作品となると、例えば『男子高校生の日常』をより洗練させたような作品があれば見るでしょうけど、その方向性は難易度高めだろうとは思います(ニーズは確実にあるでしょうが、女性キャラメインの日常モノに比べるともっともっと洗練させていかなければならない)。

女の子の皮を被った男の子みたいな女性キャラ

しばらく前にシャミ子がなぜこんなに可愛く思えるのか、といった記事を書きました。

まちカドまぞくよいやさー シャミ子(吉田優子)が物凄く可愛いく思える理由【まちカドまぞく】

ここでも書いたように、自分が好きな女性キャラというのはつまり「魂が男の子な女の子」なんですよね。

必ずしも魂に男の子感を強く感じなくても良いんですが、女性的(少女的な)な印象をゴリゴリ押してくる雰囲気になると、自分が好む女性キャラクターから遠くなってしまいます。

女の子キャラは大好きだけど少女性(女性的ニュアンス)は求めていない

前の項目とも被る話ですが、個人的には女性キャラは好きである一方、そこに対して女性的ニュアンスは求めていません。

自分は自覚的にこういった認識をもっているんですが、恐らく無自覚にこういった趣向を持っている人も少なからずいると思います。

この辺の認識はそれこそマーケティング的視点で見ると肝となる部分だと思うので、こういった趣向が少なからず存在している事をしっかりと理解した方が良いでしょう。

「同じ女の子だらけの作品なのに、どうしてそっちは大人気でこっちは全然人気ないんだ?」なんて疑問があった場合、この点が強く寄与している可能性もありますね。

様々な要素を適切に配置した心地よい温度感

これは日常モノという文脈にかかる話で『まちカドまぞく』にしろそうですが、昨今の洗練された日常モノは作中に様々な要素を印象的かつ適切に散りばめた上で、程よいテンポと温度感で作品世界を構成しているものがチラホラとみられるようになってきました。

そういった心地よさを下地とした上で、これまた心地よい小気味の良い笑いの要素もプラスされ、時に心が温まるようなエピソードがあり、さらにはシリアスな面すらイガイガさせずに扱えてしまう…これが日常モノの強みです。

ここまでバランス感覚の優れた作品は中々見かけませんが、そういった点にこそ『まちカドまぞく』の特異性があると言うべきでしょうね。

可愛さのオーバーフロー

『まちカドまぞく』の円盤4巻ブックレットで桜井監督がシャミ子の演技について最初に修正を入れた点に関して、「絵や動きが可愛くて、声質がそもそも可愛いんだから普通に話せば良いんですよ」といっているように、こういった可愛さの匙加減というのは女の子メインの作品を扱う上で極めて重要なセンスです。

ここを誤ると、可愛さのオーバーフロー、可愛さのゴリ押しになってしまい、結果寧ろ可愛く思えない…なんて事にもなるものです。

『まちカドまぞく』はそういった点での温度感が非常に良い具合で、その点も人気に大きく寄与している事でしょう。

言い換えれば、『まちカドまぞく』ぐらいの匙加減が好みな人がこれだけ多い…という点は、大いに意識するべき点かと思われますよ。

女の子メインの中で男性ボイスの存在感

これは随分と業界的なノウハウとして定着した感がありますけど、女の子メインの作品で本当に女の子しか出てこない(声も女の子ボイスしかない)といった事になると、作品全体の印象がフワフワしたものになります。

それが良い!という人も当然いるでしょうが、どちらかと言えばそれはプラスよりはマイナスに働く事が多いように思います。

そこで本作のようにナレーションだったりで男性ボイスがポイントポイントで確りとした存在感を示す事で、作品全体の輪郭が非常にクッキリと浮かび上がる効用を最近は実感する事が多いです。

遊びのある映像や音響

円盤のブックレットやコメンタリーで桜井監督も語っていましたが、『まちカドまぞく』は映像的にいたるところに様々な仕掛けが施されており、作り手が拘りを持って遊んでくれている感が視聴者にも伝わって来るのが嬉しい要素でした。

音響面でも劇伴音楽は最高に魅力的でしたし、それ以外にも色々と面白い音(SE)がそこかしこに仕込まれており、音を聞いているだけでも楽しめちゃうのが凄いですよね。

OPとEDも非常にお気に入りで、楽曲と映像が織りなす世界を毎話飛ばす事無く堪能していました…これだけOPとEDを毎話じっくり味わっている事も稀と言えば稀かも知れません。

こういった映像や音響等々から感じられる作品に対する作り手側の熱量というのは、やはり視聴者側にとっても嬉しい事で、そういった点でも「応援したい」と思わせてくれる作品というのが、今は特に人気が出やすい理由の一つとして存在感を増しているようにも思います。

原作理解度

円盤のコメンタリーを聞いていると、桜井監督は本当にこの作品がお気に入りなようで、ゆえに何回も読み直した結果として作品に対する理解を深めてらっしゃった事がアニメとしての『まちカドまぞく』を形作る上で決定的にプラスへ働いたのは間違いない所でしょう。

さらっと流し読むだけではなく、作品のもつ味わい・ニュアンスといったものを確りと理解した監督がいたからこそ、この作品は『まちカドまぞく』として瓦解せず、魅力的なアニメとして生を受ける事が出来たのでしょう。

女の子メインのアニメを作る上で現状最も参考にするべき『まちカドまぞく』

そこそこな項目を挙げられたので、とりあえずこれぐらいにしときます(若干疲れた)。

「女性キャラの描き方」といった点を特に伝えたかったので、そういった面について重点的に書かせてもらいました。

自分は女性キャラばかりの作品に好きなものが多いんですが、かといって女性キャラばかりなら何でもよいという訳では当然ありません。

各クールで女性キャラメインの作品というのは常に一定数ありますが、その多くが自分の好みからはズレているんですよね。

そこでもし、売り手側が「ちゃんと女性キャラだらけの作品を用意している」といった市場認識でいるとしたら、それは全くの見当外れである点は強調させて頂きます。

『まちカドまぞく』が大好きな自分の視点からみれば、『まちカドまぞく』的な市場は基本的に常にスカスカです。

年に片手で足りる程度あれば良い方ではないでしょうか。

故に『まちカドまぞく』は貴重であり、結果として原作ファンはもちろんアニメで初めて触れた自分のような視聴者も深く愛着を抱くに至っています。

『まちカドまぞく』を切欠として色々なシナプスがつながり、自分のような「まちカド難民」が安住できるフィールドが形成される事を願っています。


©伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会

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