自分が小学生の頃に読んでいた漫画の中で、特に思い入れの強いものが三つあります。
一つ目は「幽遊白書」、二つ目は「スラムダンク」、そして三つ目は「ダイの大冒険」です。
割とベタな三作品だと思いますが、この中でも特に「アニメをもう一度作り直して欲しい」という願望が強いのはダイの大冒険・・・というのもやはりベタな願望でしょうね。
そんなダイの大冒険が令和の世にアニメとして新たに生まれ変わる・・・その一報を聞いた時の高揚感は中々のものでした。
そんな新生アニメ「ダイの大冒険」が10月から始まったわけですが・・・。
「ダイの大冒険」とは?
(2023/03/27 07:59:32時点 Amazon調べ-詳細)
わざわざ説明するまでもないかも知れませんが、「ダイの大冒険」とは人気ゲームである「ドラゴンクエスト」(ドラクエ)の世界観で描かれる冒険漫画であり、ドラクエ系漫画の中でも圧倒的な知名度と人気を誇る作品です。
過去にアニメ化もされていますが、人気を博していたにも関わらずスポンサー側の都合によって打ち切りといった判断を強いられた悲運の作品としても有名ですね。
今回のリメイクはそういった無念さを踏まえた上で考えると、一ファンとして感慨深いものがあります。
ちなみに自分も当時アニメを見ていましたが、「なんで終わっちゃうの?」と悲しい思いを抱いたような覚えが微かにあります(アニメの内容自体は全く記憶にないんですが)。
そういった意味でも、令和の世で生まれ変わる新生アニメには大きな期待が寄せられていた事でしょう。
ダイの大冒険(2020年)3話までの感想
1話冒頭は良い感じ
冒頭は良い感じでした。
流石にしっかりとリソースを掛けて作られたアニメだなと感じられる映像クオリティーで、この点に関しては問題なさそう。
しかし冒頭の描写(バランから赤ん坊の流れ)は流石に見せすぎじゃないか?と思ったわけですが、これが「すでにストーリーを把握している視聴者が大半」であるとの認識からであれば、アリと言えばアリでしょう(個人的には少々余計に感じましたが)。
ただ、どうやらそういったわけではないらしい事を、この後でじわじわと感じ始めるわけですが・・・。
OP映像&楽曲
OP映像に関しては、ここもしっかりと綺麗な映像となっており、その点は良し。
ただ戦闘シーンに関しては、どうにも躍動感のない動きが気になりますが、まぁ許容範囲でしょうか。
OP楽曲に関しては間違いなく賛否両論あるでしょうが、個人的には消極的に肯定派といったスタンスです。
この曲を聴いた時に思った事は、「ビックリするぐらい想像どおりの曲」という事。
令和の時代にダイの大冒険をリメイクするという事になれば、やはり主題歌がどういったものになるかという事は気になる部分でした。
最高なのはドラゴンクエスト的な音楽を現代風にアレンジしたような、そんな歌曲が出来上がる事でしたが、流石にそれは望みすぎかなとも思っていました。
そんな中で一番ありそうなのは、「男性ボーカルで比較的若者の曲といった雰囲気のバンド曲」といったイメージが漠然とあったんですよね。
言うなれば「バンプオブチキン」みたいな(これすら最早古い?)、そんなノリの曲が来るんじゃないかなぁ・・・と漠然と思っていたら、まさにそんなノリの曲が来たなと。
まさに「オッサンが若者向けを意識したら辿り着きそうな所」ですね(自分も十分オッサンなので分かります)。
といった感じでこのOP曲、さらにはED曲も含めて、個人的にはまぁ許せる範囲かな?といった認識です。
凄く好きかと問われたら自分の好みに合致するわけではないですが、別段嫌いではないので別に良いんじゃないかと。
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BGMにドラクエ感はあまりない
アマゾンのレビューなんかを覗くと、BGMにドラクエ由来の物が使われていない点を指摘する声も多いですね。
音楽の印象というのはアニメにおいて非常に重要ですから、その点が気になるという意見も良く分かります。
個人的にもどこかしらでドラクエ的なBGMを効果的に使ってもらえると嬉しいかな?とは思いますが、これに関しては無いなら無いでそれほど気になる点ではありません。
しかし実際の劇伴は、非常に冒険ファンタジーの曲として無難な劇伴となっているので、印象に残りにくいというのはあります。
場面への当て方に関しても割とベタな使い方をしているので、良くも悪くも意外性がありません。
CVは慣れるでしょう
ダイのCV(キャラクターボイス)は種崎敦美さんという事で、若手声優さんの中でも演技に定評のある方ですよね。
今の所は少々違和感がありますけど、CVに関しては「このキャラはこの声じゃなきゃ嫌だ」といった事はない自分なので、他のキャストさんも含めて別に気になるほどの事ではありません。
ただやはり、前回アニメ化された時の声が印象として根強く残っている人の場合だと、やはり異物感を感じてしまうというのはあるんじゃないでしょうか。
こればっかりは時間が解決してくれるのを待つしか・・・といった所ですね。
ただ、そういった大前提を横に置いておくなら、随分とトリッキーなキャスティング(意外性のある配役)だなとは感じますが・・・。
声優さんも意外な役を振られて大変そうです。
モンスターは3DCG押し
モンスターは3Dモデルを活用してグリグリ動きます。
個人的には3D感が露骨に出ていて微妙だなぁと感じますし、上の画像にあるようなグルっと一回転といった驚くほどダサい(失礼)使い方は正直アレですが、この点はそれほど深くツッコむ必要もないかとは思います。
3Dモデルを活用することでアニメ製作のリソース削減に繋がるのであれば、自分は大賛成といったスタンスですので。
恐らくはゲーム用のモデルを活用しているのでしょうね。
尺が足りない
この作品に限った話ではないんですが、尺の都合からエピソードを詰め込むような描き方になってしまう弊害というものが本作品でも見て取れます。
1話でニセ勇者のエピソードをちゃっちゃと片付けてしまい、2話でレオナ姫のエピソードをサクサクと消化して行きます。
もし自分が本作のプロデューサーであったとしたら、1話目はデルムリン島がどのような島で、ダイという少年がどういった少年であるかを視聴者に印象付けるために費やします。
物語で重要なのは最初の「掴み」ですから、まずはデルムリン島、ダイ、そしてモンスター達に愛着を持ってもらう必要があるのです。
ただこの点に関しては原作漫画の時点で駆け足で進んで行く部分なので、アニメ製作スタッフに独自の判断が求められる箇所である事を考えると、さすがにそこまでは期待できないかなと言うのが正直な所です(残念ながら)。
せめてニセ勇者を追ってロモスまで行く点をじっくり描いて貰いたかったのですが、むしろロモスまで行くエピソードを改変して船上でのバトルに変わってしまいました。
2話は2話でかなり端折った展開となっており、これで視聴者にレオナ姫への愛着を刷り込めるのだろうか?と首を傾げてしまいました。
3話は単体で尺の問題を抱えているというのもありますが、この段階に達するまでがサクサク来てしまった事で、地に足つかない状態で描かれてしまっているような印象が強いですね。
レオナ姫と同様に、こんなアッサリ進行で視聴者にアバン先生への愛着をしっかりと刷り込めるのか?と、本当に甚だ疑問な3話でした。
演出が非常に淡泊
尺が足りないだけではなく、短い尺の中でどうやって見せて行くのかといった点でも、本作品は問題を抱えていると言わざるを得ません。
というのも、基本的に演出が非常に淡泊というか、緩急が足りないんです。
例えば1話のニセ勇者一行が島のモンスター達を切り刻んでいる場面、そこに至る見せ方、そしてその場面での演出が極めて軽薄なので、ダイから見たその光景の悲惨さというものが今一つ伝わって来ません。
2話も尺が足りない上に演出は淡泊なので、本当に粗筋をなぞっているだけのような味気無さを感じずにはいられませんでした。
3話は3話で各所の演出が非常にあっさりとしていて、なんだか印象に残りづらいアニメになってしまっています。
もちろん淡泊な見せ方が必ずしも良くないとは言いませんし、それが効果的に働く作品もあります。
しかし本作品においては、ただでさえ尺が足りないことで駆け足であるのに、演出のエッジも効いていないという事で非常にノッペリとした印象になってしまっている点は否めません。
尺の無さを演出の工夫で補うような印象もないので、本当に表層を撫でるだけで淡々と進行して行く・・・そんな感じですね。
あとギャグ表現も淡泊、というかどういったスタンスで行きたいのかが今一つ定まってないような、宙ぶらりんな印象があります。
間抜け、間が悪い
演出が淡泊と表現しましたが、単に淡泊なのではなく、間の取り方が上手くないんですよね。
描き方にメリハリがないと言っても良いですが、本当に粗筋をなぞっているだけのような味気無さが目立ちます。
つまりは、「間の抜けた描き方」になってしまっているんです。
まるで視聴者の感情を全く意識していないような、淡々とタスクを消化していくだけといった趣で、感情を揺さぶられる事もなく時間だけが経過しています。
「え、そんな呆気なく進むの?」と唖然としてしまうような場面が多くて、気持ちが置いてけぼりになってしまいます。
正直な感想
本作はダイの大冒険に対する思い入れを横に置いておいたとしても、アニメとして面白いとは思えないというのが偽らざる感想です。
率直に言ってしまうと、今後この作品が盛り返して魅力的なアニメになる未来というものは期待できそうもありません。
本作は土曜の朝にテレビ放送されているようで、いわゆる「朝アニメ」なんですよね。
そういった点や作品全体の色使いなどなどを考えた場合、作り手はどちらかと言えばリアルタイムで10代前半以下の視聴者を念頭に置いた上で製作したと考えた方が妥当なのでしょう。
1話冒頭のネタバレシーンに関しては、既存のファンを想定したというよりは、子供向けを意識して分かりやすい伏線?として描いたという事なのかも知れませんね。
しかし、そんな事はなんの言い訳にもなりません。
この作品が子供たちに人気を博すようなビジョンが、自分には全く見えません。
子供が楽しめない作りになる事は朝アニメ的なコンセプトとしては当然避けるべきでしょうが、それは大人が楽しめない事を意味するものではありません。
今作がもし子供たちに受け入れてもらえるとしたら、それは本作の足りない部分を子供の想像力で補って貰えた結果と言うべきでしょう。
しかしそれはあくまでも「子供たちに許して貰えた」だけに過ぎません。
本来なら作り手がしっかりと作品の魅力をプレゼンしなければいけないのです・・・子供大人関係なく。
アマゾンのレビューを見る限りだと、映像的に整っている点を高く評価している人は満足度もそれなりに高いようですので、足りない部分(物語の緩急など)を脳内補完できる人であれば割と楽しく見る事が出来るのかも知れませんが、自分には今の所無理そうです。
3話切りも考えたんですが、せっかく愛着のある漫画が再びアニメ化されたわけなので、今後も暫くは期待度のハードルを地面に置いた状態で毎週土曜ごとにダイの大冒険に触れて行きたいと思っております。
昔のアニメ「ダイの大冒険」を見てみたら・・・
新作アニメが正直期待外れだったので、気になって旧作のアニメ「ダイの大冒険」を見てみたんですよ。
そうしたら、驚く事に旧作の方がよっぽど楽しく見れちゃいます(汗
もちろん映像的なクオリティーは30年近く前の作品という事を前提として見る必要はありますが、当時の製作環境で出来る事を色々と工夫して作られていた事を、見ているだけでも感じ取れます。
色々と粗も多いので、この作品が当時においても際立った作品だったとは思いませんが、とりあえずちゃんと楽しめるだけでも随分とマシです。
とにかく物語としての間の取り方、尺が無い中でのメリハリの付け方などは断然旧作の方に軍配があがる有り様で、どうしてこうなった・・・と新作の方を見ながら複雑な表情を浮かべずには居られません。
といったわけで、新アニメ版がシックリこないという方は、旧作の方を見てみるのも良いかも知れませんよ。
©三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 ©SQUARE ENIX CO., LTD.
©三条陸、稲田浩司/集英社・SQUARE ENIX・東映アニメーション
まさしく思ってたことと同じことが書かれてた。
ファンを舐めすぎてると思うリメイク。
期待が大きかった事もあって、あえて率直な感想を書きました。
せっかく今の時代に再びアニメ化されたのに、この出来じゃぁ・・・といった思いは強いです。
同じことを感じてる人がいて良かった。
いわゆる「溜め」というやつが全然無いように思えるんですよね。アバンストラッシュを撃つとことかもあっさりだったし…
昔のアニメは引っ張りすぎなとこはあったけど、見せ方は上手かったと思います。
リメイクは全体的に淡泊な感じがしました。
そう、溜めが足りないんですよね。
アバンストラッシュもですが、見ていて感情を揺さぶられない、つまりは淡泊な印象が否めません。
旧作も最初は割とサクサク進んで行きますが、メリハリの付け方が上手いので楽しく見ることができます。
確かに旧作も連載中の原作に追い付かないように水増しし始めた辺りからは助長さが目立ち始めましたけどね…。
そうなんです。好きな作品なんですごい期待してたんですよ!
それだけがっかり感が否めない。
放送前の宣伝用の配信動画とかも見ました。
あれだけ期待させといて、、、、これ?
ダイファンだった世代が作ったという事だから期待してましたが
事情は色々あるかと思いますが、あれを見るかぎりダイ愛があるとは到底思えない。
細かいですが閃華裂光拳を言い間違えていた事すら気になりました。
声優さんには特に不満は無いですが、種崎さんが子供の時に見ていて思い入れがあるっていうのはどう見ても年齢的に無理があるだろって思いました。せめて40歳くらいじゃないと昔のダイに思い入れがあるっていうのはおかしい。
この作品って単にアニメだけ見ている小さい子向けっていうより、当時ジャンプも読んでて、ファミコンでドラクエをプレイしている子にはすごいささる作品だったと思うんですよね。
今の予備知識も無い子供にはまったく響かない気がしてならないんですが、そこにおもちゃなんか売り出しても売れないだろうって思いますね。
いまさらリメイクするなら、オールドファン向けの作りにしないと何の意味もないだろうって思いますね。
期待が大きかった分だけ、ションボリ具合も大きいですよね(汗
スタッフの作品愛に関しては、もちろん思い入れの深い人もいらっしゃる事とは思うんですが、それが作品のデキに繋がっているかと言えば・・・といった感想です。
個人的には作品愛や予算なんかの事情よりもシンプルに実力不足かな、と思ってしまうのが正直なところです(厳しいようですが)。
>せめて40歳くらいじゃないと昔のダイに思い入れがあるっていうのはおかしい。
リップサービスなんでしょうが、この作品に限らず最近のアニメは無暗にキャスト陣へ良い感じのコメントを求めすぎるきらいがあるので、声優さんも大変だろうと思います。
>いまさらリメイクするなら、オールドファン向けの作りにしないと何の意味もないだろうって思いますね。
子供をメインターゲットに据えても別に良いんですが、おっしゃるように今の子供に対して訴求力のあるコンテンツ・アニメと言えるのか?と考えると大いに疑問ですよね。
アニメ作品として首を傾げざるを得ないのと同時に、商売としてもこれで成立するのか?というのが心配です。
ドラクエが主に昭和生まれ世代にしか受けないコンテンツという事を理解せず、
スポンサーがドラクエで稼がせて貰いまっせ!と気合空回りな気がしますね。
恐らく最終話迄に息切れして、相当な巻きが入るか中途半端に打ち切りのどちらかかと。
少なくとも今時の子供には受けないですね、コレ。
商売として成立しているのかが非常に心配なアニメだなと感じざるを得ませんよね。
>恐らく最終話迄に息切れして、相当な巻きが入るか中途半端に打ち切りのどちらかかと。
一応最後までやるという前提で動いているみたいなので、打ち切りよりは巻きが入る線の方が濃そうです。
出来る事なら持ち直して欲しいと思っているんですが、試しに最新話を見てみた感じ、少々厳しいでしょうね…。
確かにアレ?もうそんなんなったん?という展開は否めないですが、アニメに時間を費やせる年齢層をターゲットにしてるわけではない?ので、オッサンな私としてはまぁ別に良いと毎週楽しみに観てます。
と思いきや、時間に余裕がある若手層はそもそもアニメ視聴のサイクルがせいぜい2クールで、というスタイルが定着してるおかげか、サクサクの方が好まれるのでは?とは思いますが。
いずれにせよ、最後までやってほしいですね。なおサクサク加減からして、ノブァらへんは間違いなくカットかとw
「間」の好みというのは個人差がありますし、またその重要度についても個人差が大きいと思いますので、違和感を感じつつも妥協して楽しく見れる方もいらっしゃいますよね。
>時間に余裕がある若手層はそもそもアニメ視聴のサイクルがせいぜい2クールで、というスタイルが定着してるおかげか、サクサクの方が好まれるのでは?とは思いますが。
好まれてくれているなら良いんですが、あまりそういった感じもしないのが心配の種なんですよね・・・。
>なおサクサク加減からして、ノブァらへんは間違いなくカットかとw
北の勇者w
いやでも、たしか彼は最後の局面でヒャド要員になってませんでしたっけ?
だとすれば、おそらく多少は描かれますよ・・・Aパートの半分ぐらい(小声
このアニメに限った話じゃなく、少なくとも昨今のリアタイ時の一番旬なタイミングにアニメ化できなかったorアニメ化したはいいが失敗した作品を今更リメイクリバイバルした系のコンテンツである限り
ここでも書かれてるようなタメや間や余韻がないとかを含めた、原作の内容や構成要素に優先順位をつけてそれの低い部分を雑に切り捨てただけであとは残った部分をノルマ消化やアリバイ作りのように尺に押し込めてなぞるだけの原作重視という綺麗事で誤魔化した虫食いパズルになり下がるのはそうそう逃れられないと思いますわ
「虫食いパズル」というのは的を得た表現だと感じます。
自分は他のリメイク系作品については詳しくないので比較は出来ませんけど、どうやら今作品のような事態は良くある事のようですね(残念ながら)。
自分としては、このアニメによって売り手側がウハウハ出来てるなら(アニメのデキはともかく)企画として存在する事自体は理解できるんです。
しかしどう考えてもそんな気がしない点が解せないというか、ビジネス的に大丈夫なのかこれ?という思いばかりが募るワケでして。
虫食いパズルでもアニメ化する事に相当な旨味があるような「何か」があるんでしょうかね?