アニメ製作スタッフの発言に感じる迂闊さと危うさ【そこあに「このすばスタッフインタビュー」を聞いて】

このすばアニメ新企画始動

© 2017 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば2製作委員会

アニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」(このすば)の一期が2016年って言うんですから、今のクールが終わって年を越すと4年前という事になるんですか。

「映画このすば」も好評なようで、今冬にはアプリもリリースされるらしく、原作以外でもこのすばの世界が続いて行く事は嬉しい限りですね。

そんな「このすば」と言えば、声優陣と共に製作スタッフさんも並々ならぬ熱量を込めてくれている作品として有名ですよね。

そんな一体感こそが「アニメこのすば」一番の魅力ではないでしょうか。

そんなこのすば製作スタッフさんのインタビューが聴けるネットラジオが配信されていたので聴いてみたのですが、その感想を語って行きたいと思います。

ついでにアニメ製作スタッフのインタビューについて一般論的な話も。

そこあに「映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説」特集 #604

自分は初めて知ったのですが、ポッドキャストで配信されている番組にこういったものが存在しているのですね。

そこあに「映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説」特集 #604

パーソナリティーさんがアニメ関係者をゲストに招いてトークする番組…なんでしょうか?

とりあえず今回は「アニメこのすば」のシリーズ構成・脚本担当である上江洲誠さん、そしてKADOKAWAプロデューサーの小倉理絵さんに対するインタビューといった形で番組が進行しています。

アニメ製作者の声を聴ける機会も中々ないと思いますから、割と貴重な番組かも知れませんね。

そこあに「映画このすば特集」の感想

「そこそこアニメを語る」を略して「そこあに」らしいんですが、話している内容は割と突っ込んだモノとなっていました。

まず率直な印象として、「アニメこのすば」好きな人みんなにオススメしたいインタビューかと言えば、あまりそんな印象はありません

話の内容をザックリ箇条書きでまとめると、以下のような話をしています。

  • アニメこのすば一期の段階では業界的に全く期待されていない企画だった
  • 上江洲さんはラノベを読むのがしんどくなったタイミングだったので依頼を断ろうと思ったが、原作が面白かった&金崎監督とならとの条件で引き受けた
  • 金崎監督も上江洲さんとならといった条件でこの仕事を受けた
  • パーティー構成的にハーレムものに思われてしまうけど「全然そうじゃない」という感想をKADOKAWA社内の女性社員からもらった
  • そのKADOKAWA社内の女性社員はハーレムモノに偏見を持っている
  • 上江洲さんも金崎さんもヒロインたちを娘のような視点で見ている
  • 上江洲さんは美少女モノに対してセンサーが鈍って興奮しなくなっている
  • 上江洲さんにとってカズマは可愛い長男坊
  • キャラデザの決め手は生活感のある絵である事
  • 原作の挿絵と大幅に変わった点について、原作者と挿絵画家の理解を得られた事が大きい
  • 1期9話のサキュバス回はキャラデザの菊田さんが暴れん坊だった
  • 小倉さんからの映画に対する要望は「5巻の内容」と「ラストにカタルシス」という二点。
  • ボツになった本編前のアバン部分も上江洲さんは執筆していた
  • 「安楽少女」のエピソードは金崎さんお気に入りだったものの尺の都合でカットされた
  • アクアがカズマのズボンをお世話する場面は金崎さんの仕事
  • 紅魔族の名乗りは原作の暁さんによるもの
  • バトルシーンは上江洲さんが手がける他作品のノリを持ち込んだ
  • このすばのエピソードは逆算と引き算で構成されている(落し所を決めてエピソードを沢山作った上で尺に合わせて削っていく)
  • ふとんシーンは原作の内容を削って収録
  • 脚本の展開だけではなく音楽の使い方にも様々な工夫を凝らしている
  • 4DX演出はアニメ製作スタッフではなく4DX職人が作った
  • このすばスタッフはチームワークが素晴らしい
  • 他の作品はチームワークがないものもある
  • アニメ業界に是非来て欲しい! by KADOKAWAプロデューサー

割と長かった(49:08)ので内容も盛りだくさんでしたね。

基本的にはこのすばファンなら興味深い内容だったと思いますし、面白い話も聞けました。

しかし個人的にいくつか気になる点が散見されたのも事実です。

ラノベを読むのがしんどくなった/美少女ものに対して~

上江洲さんの発言ですが、脚本家がこのような形でラノベに対して画一的なイメージを前提として語っている事が非常に残念です。

当然の事としてラノベには様々な作品がありますし、美少女モノという文脈においても同様に千差万別な作品が存在しています。

それを一まとめに語っている点にガッカリしましたし、非常に迂闊な発言だとも感じました。

ハーレムものに見られるけど/KADOKAWA女性社員の件

こちらは小倉さんの発言ですが、KADOKAWA社内にハーレムものに対して偏見を持っている人間が存在している事を当たり前のように表明している点には大きな違和感を感じました。

さらには小倉さん自身も言葉のニュアンスからは「このすばをハーレムものと思われる事を快く思っていない」ような印象も感じられ、このすばをハーレムものとして非常に高く評価している自分からすると残念極まりない価値観でした。

『このすば』はハーレムアニメとして面白い【この素晴らしい世界に祝福を!】

ハーレムモノ的文脈においてこのすばを好んでいる人も少なからずいると思うので(自分もそう)、その点に対してあまりにも無神経な発言だったように感じます。

アニメ製作スタッフの迂闊さ

一つ前の記事でオーディオコメンタリーに関する話題を扱いましたが、そこで書かなかったスタッフコメンタリーに対する心配として、「思慮の足りない発言が出て来る可能性」というものは懸念材料として存在していました。

声優さんは各種作品に関わっている事もあり、発言内容には気を付けている人が多いと思います。

しかし製作スタッフはその辺の思慮が足りない、あるいは気を使う意思がないのか、少々残念な話を披露してくれちゃう事があったりします(音声だとそうでもないですが、文章でのインタビューだと良くある)。

例えば上江洲さんは1期このすば5巻(最終話)のコメンタリーで「自分ら(作り手)が面白くってしかたなくなることってレアじゃないですか」といった事を言っています。

これはつまり「このすばは自分たち作り手が見ても面白い作品になった」という事を強調するための発言ですが、裏を返せば「他の作品は作り手的には別に面白くもなかった」とも取れるわけです。

自分は製作者が自分の作品を持ち上げるために他の作品や作風などの要素を下げる(あるいはあえて画一的に定義して否定的に論ずる)事が大嫌いで、それは自分が好きな作品が上げられる側であろうとなかろうと関係なく、というか自分が好きな作品の製作者がそんな発言をしている事自体が哀しく思えるのです。

故に自分は文章によるスタッフインタビュー系はあまり見ないようにしていたりもします(信頼できると判断している人以外は)。

オーディオコメンタリーについては比較的そういった心配がないかな?とは経験則的に感じますが、もし今後そういった面が目立つようならスタッフコメンタリーに対して否定的になる可能性もあります。

声優さんの配慮を無下にしないように

このすばは声優さんがラジオ等で作品愛を語ってくれる事により、ファンと作り手が共に作品を愛して行くような一体感が生まれている点も大きな魅力として認識されていると思います。

それはひとえに福島さんと高橋さんのラジオ組はもちろん、雨宮さんや茅野さんその他多くのこのすばキャストの皆さんが「この作品がどれだけ作り手から愛されているか」という事を伝えてくれている点も非常に大きいと思うんです。

今回のインタビューはそこまで致命的な内容ではないと思いますが、正直かなり危なっかしいなと感じましたし、個人的に残念な部分も散見されたので記事にしました。

KADOKAWAらしく下卑た商売っ気がちらつく機会の多くなった「このすば」ですが、この作品最大の武器であり財産である「ファンからの信頼」を失うような事のないようにして頂きたいものですね。

そういえば以前にこんな記事も書きました。

【このすば】海外正規品import DVD(1期+2期全話収録)が超お買い得()ですよ【この素晴らしい世界に祝福を!】

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